『テリ』という言葉は、パールの業界意外に聞いたことがない言葉、いわゆる業界用語です。
今回は、パールを身近に感じていただけるように、
テリについて簡単にお話ししていきたいと思います。
今回の内容
- 前提として「パール」とは?
- どうして「かがやき」ではなくて『テリ』なの?
- 『テリ』の見方は?
- 『テリ』の役割
- おわりに
1.前提として「パール」とは?
そもそもパールとは、
パール(=真珠)
①生きた貝がつくる生産物。
②表面を真珠層で覆われている。
上記のように、2つのポイントを備えたものがパールと定義されています。
私のブログでは、親しみやすいようにパールという言葉を使いますが、
そこにはイミテーションパール(模造真珠)は含みません。
2.どうして「かがやき」ではなくて『テリ』なの?
さて、本題の『テリ』とは、すでに申し上げたように「かがやき」とニアリーイコールの関係にあります。
どうして、「かがやき」ではなく『テリ』というのか、というと
他の宝石や金属にはないパール特有のかがやきがあるから
という理由が一つあげられると思います。
では特有のかがやき『テリ』とはどういうことなのか?
そこで、『テリ』の見方をご紹介します。
3.『テリ』の見方は?
業界では
「テリがいい/わるい」
「テリが強い/弱い」
などと使われる『テリ』。
『テリ』の見方には2つあります。
①パールの表面で反射する光源像の強さ
②干渉色の色や強弱
2つの見方を簡単にご説明します。
①パールの表面で反射する光源像の強さ
パールの表面をみると、外の光が表面で反射し、光っている部分があります。
これが、光源像です。
この光源像がくっきりと強く映っている方が「テリが強い」と見ることができます。
反対にぼんやりしている場合は「テリが弱い」と見ることができます。
または、パールを覗き込んだときに自分の姿がきれいに映り込んでいるかどうかで判断することもできます。
よりくっきりと映り込んでいる方が、「テリが強い」と見ることができます。
上の写真で見ると、タイマー設定にして撮影の瞬間に隠れているので私自身は映っていないですが、部屋の様子が映ってしまいます…。撮影は一苦労…。
このように、光源像の強さで判断する方法が一つ目の見方です。
②干渉色の色や強弱
パールの表面では、光の干渉現象がおきています。
干渉とは、光の波長が干渉しあい、特定の光の波長を弱めたり、強めたりすることです。
…という、急に物理のお話で読むのがイヤになってしまいそうですが、
干渉現象がおきているものは皆さんの身近にもあります。
例えば、虹、シャボン玉、タマムシ、オーロラなどがそうです。
なのでパールの見た目を「オーロラのようなかがやき」と表現されることもあります。
パールの干渉現象の説明はここでは省きます。
長くなりますし、ちょっと複雑なので。
干渉色の見方を簡単に申し上げると、
グリーンやピンクなどの干渉色が見られ、色がはっきりと現れている方が「テリが強い」と判断することができます。
色がはっきりと現れていない場合は「テリが弱い」と判断することができます。
干渉色は、白地の上に置くとより分かりやすくなります。
理由は、光が白地で反射し、パールが照らされるからです。
このように、干渉色の色や強さで判断する方法が2つ目の見方です。
4.『テリ』の役割
ここまで、テリとは?
テリの見方とは?についてお話ししてきました。
さて、ここで改めて『テリ』の役割について考えてみると、
やはりジュエリーとしての「かがやき」が一つの役割。
つまり、『テリ』の役割とは、ジュエリーとしての“品質”に直接かかわることなのです。
テリの強弱がパールの業界ではやっぱり大事。
大事なだけに、取り引きのときには一番に見られるポイントであるし、
養殖業者さんはテリの良い真珠を生み出そうと日々努力されていると思います。
テリが良いと高い品質として評価され、高い価格で取り引きされるので、
パールにとって『テリ』は大事な要素なのですね。
5.おわりに
パールの養殖は、日本で生まれ、御木本さんの功績により、世界中へと養殖真珠が受け入れられ、愛されてきました。
真珠養殖の歴史は100年以上です。
そのように歴史の長い産業だからこそ、世界のパールの取り引きには日本の文化が残っています。
『テリ』という言葉も真珠養殖の歴史とともに使われてきたのだと思います。
そして、この言葉を置き換えられるちょうどいい言葉がなかったために、
今も業界で使用されているのではないかと推測しております。
お読みくださり、ありがとうございました!
それでは!
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