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【保健の話】感染経路を知って、予防方法を理解しよう!

“感染経路”というと、ウイルス・細菌がどのように、人から人へ感染するか、を意味するのですが、コロナウイルスのニュースを見ていると、どの人からどの人へ感染したか、という、“ルート”をたどって明確にする、という意味で使用されている場面が多いですね。

 

今回は、前者、『ウイルス・細菌がどのように人から人へ感染するか』をまとめてみたいと思います。

ウイルスや細菌は、人から人だけでなく、動物も含めた生物から生物への感染もありますが、今回の話は人から人への話に絞ります。

  1.  ウイルス・細菌の大きさ
  2. 代表的な細菌・ウイルス
  3. ウイルス・細菌は、人の体のどこで生息・増殖するの?
  4. どんな感染経路があるの?
  5. 予防方法を理解しよう
  6. マスク着用の考え方
  7. 今回の記事掲載に当たって

 

ウイルス・細菌の大きさ

目には見えない、と言ってもどれくらいの大きさなのか?をイメージしてみましょう。

細菌は、0.001〜0.01mm。1ミリの100分の1から1000分の1くらい。

ウイルスはさらに小さく、0.00001〜0.001mmくらいです。

これだけ小さいと目には見えないですね。

 

ちなみに…

細菌は、単細胞生物(一つの細胞でできた生き物)。

ウイルスは、遺伝子がタンパク質に包まれただけの単純な構造の生き物。

構造的にちがう生物なので、増殖の仕方もちがいがあります。(今回は省略)

 

代表的な細菌・ウイルス

よりイメージしやすくするために、代表例を挙げましょう。

有名どころをピックアップ。

⑴インフルエンザ…ウイルス(インフルエンザウイルス)

⑵サーズ、マーズ、新型コロナ感染症…ウイルス(コロナウイルス)

溶連菌感染症…細菌(溶血性連鎖球菌)

⑷イボ…ウイルス(ヒトパピローマウイルス)

感染性胃腸炎…ウイルス(ノロウイルスロタウイルスなど)

        細菌(大腸菌ブドウ球菌サルモネラ菌など)

エイズ…ウイルス(ヒト免疫不全ウイルス)

こんなところでしょうか。感染症と呼ばれる病気には、原因となる細菌・ウイルスが存在するのです。病原菌(びょうげんきん)と呼ばれます

 

ウイルス・細菌は、人の体のどこで生息・増殖するの?

ウイルス・細菌は、人の体の粘膜(ねんまく)から入り込み、細胞や血液中に侵入して増殖し、一定数に増えると、体にいろいろな症状が出てきます。

粘膜とは、柔らかくて常に粘液(ねんえき)で湿っている皮ふのことです。例えば、口の中や目、胃腸、膣などです。

そこからウイルスや細菌は侵入してきます。

 

どんな感染経路があるの?

今回はよく話題に出るものを紹介しますね。

  1. 空気感染(くうきかんせん)
  2. 飛沫感染(ひまつかんせん)
  3. 接触感染(せっしょくかんせん)
  4. 経口感染(けいこうかんせん)
  5. 血液感染(けつえきかんせん)

主なものはこんな感じかしら。それぞれ説明していきますね。

 

1.空気感染(くうきかんせん)

誰かが持っていたウイルス・細菌が会話やせき・くしゃみなどで空気中に放たれ、浮遊しているウイルス・細菌を別の誰かが粘膜から取り込んでしまう、という経路が空気感染です。

インフルエンザが冬場に学校などで集団感染してしまうのは、窓を閉め切った状態で暖房をつけ、空気が乾燥するのでウイルスが浮遊しやすいためです。なので、1時間に一回などの換気が大事なんですね。

2.飛沫感染(ひまつかんせん)

人と人が会話をしている場面が多いと思いますが、相手の会話やせき・くしゃみなどによって、唾液にまじったウイルス・細菌が飛び、近くの人の粘膜から入り込む、という経路です。

自分がインフルにかかった後、家族や友だちがインフルになってしまうのは、このためですね。

空気感染と飛沫感染は似ているのですが、距離の違い、と考えていただければいいかなと思います。空気感染は一つの空間の中で感染する経路、飛沫感染は一対一(または複数)の近い距離間で感染する経路、とイメージしてください。

3.接触感染(せっしょくかんせん)

ウイルス・細菌が付いた物を誰かがさわって手に付き、その手のまま食事や顔をさわったときなどに粘膜から入り込んでしまう経路です。

または、ウイルスがついた手で握手するなど、人と人同士の接触で感染した場合も接触感染になります。

手洗いをこまめにしよう、というのはこのように、ウイルスがついているかもしれない手で食事したり、目や鼻をさわって体の中に入り込ませないためですね。

特にお出かけの後は、外でいろんな物をさわるので、家に帰ってきたら必ず手洗いするようにしよう。

4.経口感染(けいこうかんせん)

主に食中毒、感染性胃腸炎と呼ばれる病気の原因になるウイルス・細菌は経口感染が多いです。

“経口”とは口を通るという意味で、ウイルス・細菌が住み着いた食べ物・飲み物を食べたり飲んだりして感染する経路です。

なので、ノロウイルスは、おいしいおいしい牡蠣に生息することが有名ですが、ノロウイルスに感染した牡蠣を食べると、胃腸炎になってしまうのですね。

5.血液感染(けつえきかんせん) 

この感染経路は、紹介した中でもケースとしては激レアだけど、常識的に知っていた方がいい感染経路です。

この経路で感染する感染症にはエイズがあります。HIVウイルスは、人の血液中に生息して増殖し、白血球を破壊します。白血球は免疫機能(人が病原菌と戦う体のしくみ)の役割があるので、もしエイズが進行して重症化してしまうと、普段はかからないようなウイルスにも戦う力がなくなってしまい、いろんな症状が出てしまうのです。ただHIVウイルスを持っているだけでは、何も症状がありません。エイズの潜伏期間は長く、何年も気づかずに過ごしてしまうことがあるのです。

 

エイズの話は、ここで紹介できるほど簡単ではないので、経路の話に戻ると…

血液に生息するウイルス・細菌は、注射器の使い回し(違法ドラッグを使用する場面など)や医療現場における不慮の感染があります。

献血」って見たことあると思いますが、健康な人が血液を医療現場に提供する目的で、赤十字社が行っている事業ですね。提供してくれた人の中に、万が一、HIVウイルス感染者がいないように、必ず血液は検査され、それから医療現場で使用されているんですね。

それを利用してエイズ検査をする人がいるようですが、地域の保健所で匿名で受けられるので、そちらで受けましょうね。

 

予防方法を理解しよう

感染予防の基本的考えは、感染経路を断つことです。なので、感染経路を理解すれば、自ずと効果のある予防、感染拡大防止の行動が分かりやすくなってきます。

新型コロナ感染症においては、下記のようなことがいわれていますね。

  • 3つの密(ダジャレみたい)を避けること
  • 手洗い・うがい
  • マスクの着用
  • アルコール消毒 など

それぞれ、どの感染経路を断つことにつながっているでしょうか?

①『3つの密を避けること』→空気感染を防ぐ(飛沫感染接触感染を防げる場面もあり)

②『手洗い・うがい』→接触感染を防ぐ

③『マスクの着用』→飛沫感染を防ぐ(主として、人へ移さない目的)

④『アルコール消毒』→接触感染を防ぐ(コロナウイルスにおいてはアルコール消毒が有効とされている)

 

ちなみに、ノロウイルスなどの食中毒を引き起こす病原菌は、アルコールは効かず、塩素系の消毒液が効果ありとされていますね。病原菌によっても効果のある消毒液がちがいます。

 

マスク着用の考え方

マスクは今、手に入らない状況が続いていますね。使っているマスクの在庫が気になったり、またマスクが苦手で使いたくない、という人の声も多いですね。

マスクが効果を発揮する場面は、実は絞られていると思います。

着ける目的としては、自分が万が一、ウイルスを持っているとして(持っていない保証はないからね)、人に移さないこと、これ以上、感染する人を増やさないことです。

なので私は、外を歩いているときや、近くに人がいないときは外しています。苦しいので。

そして、電車やお店へ入った時には着けるようにしています。人との距離が近くなるし、お店の人と話すこともありますよね。そういう場面で人に移さないようにするためです。

ただし、人は無意識に手で顔まわりをさわるくせがあるので、家に帰って、手を洗うまではマスクをつけて、接触感染を防ぎたい、と考える場合は、マスク着用も役に立ちそうです。

 

今回の記事掲載に当たって

とあるお店で、小さい子どもが手の消毒をいやがっていました。お母さんも消毒させたいけど、いやがっている子どもに困っている様子でした。

気をつけよう!といって、具体的な予防方法は示されていますが、同時に、どんな意味があって、どういう効果があるのか、この際だから知っておくと便利かな、と思うんです。

衛生に対する意識や非常事態に備える意識がすごく高いんだな、と思ったので、予防の根拠を知ることで、そうだったのか、と安心につながったり、予防方法を使い分けして力の抜き方を知ったり、あるいは新しい予防のアイデアが生まれたり…そうしたら、もっと良いな〜と思います。

この事態が早く収まることを、誰もが望んでいると思います。

私は、つい最近まで保健室の先生だったので、学校保健のことを考えたり、子どもたちへの保健教育を考えたりしていました。私自身もですが、周りの人たちも、不安に思っていたり、自粛ストレスになっていたり、いろんな行事がキャンセルになって悲しい気持ちになっていたり、など精神衛生的にも辛い状況だと思います。

それで、ある意味では今回のことが感染症のことを知る機会になって、不安ではなく、予防について考えやすくなるといいな、と思いながら記事にしました。子どもや感染症についてあまり詳しくない方にも分かりやすいように、出来るだけ専門用語を避けて、簡単な表現にしているので、専門的な内容にはなっていないことをご理解いただけたら幸いです。

 

本当は、潜伏期間のことやウイルスの型、ワクチン、免疫力などふれたい内容はもっとたくさんあったのですが、感染経路から予防について考えられるような内容に絞りました。

 

長い記事になってしまいましたが、最後まで読んでくださってありがとうございます。

誰かの役に立ちますように!

美味しいお店へ行って、記事にできる普通の日々が来ますように!

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(保健室で撮った写真2014年)